2025年度 理事長所信

一般社団法人 下妻青年会議所
第47代理事長 大島 俊太郎

はじめに

はじめに・・・
私は子供の頃から特になりたい職業がなく、実家の仕事を継ぐ気もなかった。しかし、時は流れ自分のやりたい事も見つからず大学進学への岐路に立たされた私は、とりあえず家業を継ぐことも視野に入れ、18歳の時に東京の電気科のある大学へ進学することを決めた。就職先を決める頃には家業を継ぐ決心もできずにいたので、そのまま東京で就職先を決め、とにかく仕事に没頭する毎日を過ごしていた。仕事も覚え休日の少ない職場環境に精神的にも疲弊していた時、家族から「もうそろそろ戻ってこないか」と言われ、思い返すと茨城の地を10年間離れていることに気付いた。何時までもこのままでいいのか。家業を継ぐか迷っていた時、ある日父から「お前の力が必要だから帰ってきてほしい」と言われる。私は子供の頃から父から頼られることがなかったので、初めて一人前の男として少しは認められたのだと思い、家業を継ぐことを決意し、地元である下妻に戻ることになった。地元に戻って始めに感じたことは、通っていたお店やお祭りなど子供の頃の思い出が多くあったため、地域の行事が減少しているように感じた。そして、家業を継ぐ決心をしたが、このまちでこのまま会社、仕事を続けていくことが可能なのか。将来への不安もありつつ、自分が継いだ時にはもっと活気のあるまちに、会社の移転も視野に入れた方が良いのか考えたりもした。

そんな時、下妻青年会議所の話があり、どこかの団体に入れば環境が変わると思いつつ、興味をもった私はとりあえず聞いてみることにした。私は子供の頃に父のJCをやっている様子を見ていたので、JCには悪い印象しかなく、飲み会の多い団体だと思い込んでいた。しかし、実際に行っているJC運動の説明を受け体験してみると、下妻JCへの印象が変わった。2019年のペットボトルロケットを作成する事業では参加している子供たちの笑顔とその姿を見て喜んでいる親御さんの姿を見て、悪い印象が無くなり、凄いことをやっているのだと素直に感心した。今思えばこの時すでに先入観で物事を判断せず、やってみることが大切なのだと自分の考えが変化するきっかけになったのだと感じた。JCに入会してからは先輩たちが一生懸命に地域をより良くしようと夜遅くまで会議や準備をし、例会終了後には熱い涙を流し、仲間への感謝や事業構築への経緯、それまでの苦楽を語っている姿を見て、地域のために自分には何が出来るのか真剣に考えるようになった。仕事との時間のやりくりに四苦八苦しながらも、地域貢献のために私には何ができるのか、少しずつ例会にコミットし、自分に出来ることを精一杯行ってきた。2023年には委員長として、子供の頃からの思い出も多くある砂沼を今より良い環境にしたいと想い、ひょうたん池の水抜き事業を行った。事業構築の中で関係団体との打合せを何度も何度も行い、思うように進まず挫けそうになり、JCを辞めようと考えた時もあった。

そんな私を委員会メンバー始め、多くのメンバーが支え励ましてくれた。感情を表に出さない自分が、悔し涙も嬉し涙も人前で流したのを覚えている。私の人生の中で一番真剣に考え、物事に取り組んだ貴重な経験であり、自身の成長へ飛躍させてくれたかけがえのない宝と呼べる時間を過ごすことができた。役職が上がるたびに見える景色も変わり、周囲への感謝の念も深くなった。今私達がJC活動に注力できるのはこれまでの歴史を紡いでこられた先輩諸氏のおかげである。また家族や会社の理解や支えがあるからこそ活動できていることに感謝しなければならない。そしてJCができる私達の環境がいかに恵まれているのかを忘れてはいけない。JC運動を通して育ててくれた恩を恩送りとして返していきたい。JCは奉仕の心をもった明るい豊かな社会の実現に向け、運動している団体である。一つひとつの物事に本気で関わり、仲間と共に目的意識をもった行動と多くの挑戦の機会を手にしていくことが下妻青年会議所の成長につながり、地域の発展に寄与することになると確信している。

第54回茨城ブロック大会の主管

下妻JCは2014年度にブロック大会主管LOMとしてブロック大会を開催した。そしてブロック大会を通して、地域とLOMの発展につなげてきた経緯がある。現状半数近いアカデミーメンバーで形成されているLOMが、より強固な絆で団結するために、これは11年ぶりとなるまたとないチャンスだ。2022年度にも地域や組織の発展のためにブロック大会招致へ名乗りを上げたが、奇しくも選抜されなかった。しかし、地域のため、組織のため、メンバーの成長のためと再度仲間と想いを一つに、ブロック大会主管LOMへの立候補という挑戦が、2023年度に実を結ぶ結果となった。この与えられたチャンスを活かし、事業を成功させ、やってよかったと心から仲間と喜びあえるブロック大会を創造していきたい。我々の住まう地域は水と緑あふれる自然豊かな土地であり、環境資源としてこの上ない魅力溢れる地域でもある。

しかし、下妻物語によって下妻という知名度はあっても実際に何があるのか、周囲に聞いてみても分からないという答えが多いことから、まだまだ地元の良さを認知されていないのが現状である。この地域には多くの可能性を秘めた魅力があるからこそ、将来的にも地域の財産につながる運動をJCが先頭に立って行動していきたい。また、地元に暮らす人々とともに、まちの文化や青果物を活かした地元愛溢れる記念事業を盛大に展開しよう。さらに、此度のブロック大会を成功に導き、苦楽を共にした仲間と地域に対して夢を語り合えるLOMに昇華していく。そして、茨城ブロック協議会と密な連携を図り、県内各LOMの総会や茨城ブロック協議会の事業や諸会議に参加しPR活動を行い、下妻の魅力を発信しよう。明るい豊かな社会の実現に向けた挑戦が、より良いまちづくりにつながり、郷土愛溢れる情熱をもったメンバーや組織になると確信している。

どんな状況でも諦めない挑戦し続ける人財育成

人の成長において何が大切か。それは過去6年間のJC運動を通して、挑戦する心をもつことだと私自身感じている。挑戦することで、新たな知識やスキルを身に付けることができ、成功体験が自信になり、自分の価値を高めることにつながる。また、挑戦心溢れるメンバーが多くいることで、組織の発展、地域の貢献に大きく寄与するはずだ。だからこそ、どんな状況でも諦めない挑戦し続ける人財育成が必要である。しかし、挑戦する前に不安や苦手意識が頭に浮かび、最初の一歩を妨げる時があるだろう。そこで、苦手意識を克服する事業を実施し、ポジティブな考えをもった常に学び続ける人財になろう。また、挑戦する目的を明確にする事業を実施し、何に挑戦したいのか、何故挑戦するのか、仲間と共有し、挑戦する姿勢をもち続ける人財になろう。それにより一人ひとりが自信をもち、人のために行動できる前向きな考えを備えた組織になるはずだ。そして仕事やJC運動で挑戦し続けられるのは多くの人の支えがあって成り立っている。人として常に感謝の気持ちを忘れないでほしい。だからこそ自分達の大切な人たちに感謝の気持ちを伝える事業を実施し、優しさ溢れる青年になろう。

地域の未来を担う青少年の育成

経済発展に伴う生活様式の変化は、人々の価値観の多様化をもたらしている。文部科学省によると「個」を重んずるばかりに、他人との関わりを持ちたがらない風潮も見られると記載がある。インターネット等を通じた擬似的・間接的な体験が増加する反面、人やもの、自然に直接触れるという体験活動の機会の減少があげられ、社会性を身に付けられないことで、集団行動になじめないといった課題がある。様々な価値観をもった人との交流が、子供たちの心身により良い影響を与えるはずだ。そこで、様々な地域の子供たちにいたわりと思いやりの心を醸成する事業を開催することで、相手の立場になって物事を考える豊かな人間性を身につけた子供が多くなり、明るい豊かな社会に発展する。また、グローバル化が進む現代社会では、多様性といった考え方が重要になってきており、国境を越えて様々な人々とコミュニケーションをとって協働したり、異文化を理解したりする能力が求められる。特にグローバル教育を視野に入れると、子供の可能性が広がると感じている。グローバル化が進行している今だからこそ、子供たちが自身の将来に目を向け、普段学校では学べない異文化交流といった国際的視野を身につける事業を実施する。子供たちの将来の選択肢や可能性を広げるだけでなく、社会全体の発展や平和にも貢献できるはずだ。

やる気が漲る組織運営

組織として一つの目標に全員が目指すためには、日程の管理、各委員会との協調や問題解決を密に行っていく必要がある。会議前には事務局による誤字脱字や資料のリンク切れといったチェックを行い、各委員会に修正内容を展開する。それにより、会議ではより質の高い意見が飛び交い、より良い事業が展開され、組織の価値を高めるものとなる。また、行政との連携を強化してきた昨今、下妻JCとしての信頼度と協力体制は確かな連携を確立している。しかし、一般市民からはまだまだ下妻JCの名前すら分からない方も多くいる。もっと多くの人に知ってもらうために、組織で管理しているSNSを週2回以上発信していく。組織の活動を多く発信することで、メンバー一人ひとりが尽力している仲間から感化され、明朗な気持ちになり、組織のモチベーション向上につながると考える。また、事業の告知だけでなく、メンバーの日常や仕事の状況等も発信していくことで、親しみやすい組織として少しずつ市民へ認知され、下妻JCのブランディングにつながるはずだ。

費用対効果を遵守した財政規則審査会議

我々の活動資金はメンバー一人ひとりからの会費から成り立っている。そのため、事業の背景、目的に沿った運用及び費用対効果を追求することが重要である。また、近年SNSによる発信での炎上問題も多発している。組織の信用を損ねないためにも、発信前に目的に沿った内容なのか、コンプライアンスは遵守されているか確認し、JC運動の妨げにならないようにすることが必要だ。財政規則審査会議では、事業の費用対効果についての審査を行うことが、財政面及びコンプライアンス面の適正化、透明化を図るとともに、事業の実施が確実になると考える。活発な意見が出る環境の創出により、メンバーの成長や円滑に事業を展開することにつながり、周囲の信頼を得られる組織となる。

未来へのバトンを繋ぐ歴代理事長塾

半数以上がアカデミーメンバーで形成される下妻JCは、十分な経験と段階を踏めずに役職についてしまう課題がある。その結果、委員会運営が分からず、フォロワーメンバーは委員会でどんなことをしているのか把握できていないことがある。課題解決に向けたより良い事業の展開には、しっかりとした委員会運用をし、メンバー一人ひとりがそれぞれの担いを把握し、全うする必要がある。そこで、1年未満のメンバーと委員長職を担うメンバーを対象に、下妻JCで尽力してきた現役歴代理事長塾を展開する。委員会の運営の仕方や例会の構築の仕方を学び、下妻JCの組織力の強化を目指していく。目的をもった委員会運営の強化が、未来の下妻JCの歴史を紡いでいくはずだ。

成長へつながる出向制度や諸大会の活用

出向制度の良さを知らないメンバーは現状多くいる。出向制度は多くの人との出会い、価値観に触れる貴重な機会であり、多くのメンバーで出向制度を利用し成長へとつなげていきたい。内に籠っていては自身の見聞は広がらない。実際に私は出向制度を活用して、視野が広がった。地域ごとに課題が異なり、環境の違いからもアプローチの仕方が様々あることを経験した。また、県内各LOMと交流を交わし、ビジネスについても経営に対する考え方や戦略を学んだ。さらに、リーダーシップやスキルアップの発展、組織の連携強化といったメリットがあり、多様な視点を感じることができた。特に、向上心のあるメンバーが集まることから、自身も刺激を受け、前向きな発想で物事を考えることができるようになった。そこで、多くのメンバーに出向のメリットを感じてほしい。出向先にはLOMでは味わえない規模の事業があり、市外の方々と価値観の共有や夢を語り合える機会があることから、積極的に諸大会のフォーラムを活用しよう。また、出向や諸大会で体験したことを発表する場を設け、個人の成長だけでなく組織の成長にも必要だと理解し、全員が出向の良さを共感しよう。自身の体験をメンバー間で共有することで、まだ経験していない未来の出向先へ、挑戦する意欲が高まるはずだ。さらに出向するメンバーにはLOM全体でしっかりとサポートし、頑張っている仲間を気にかけ応援できる組織としてあり続けよう。

結びに

茨城ブロック大会という大役のある年に理事長職を賜れたこと大変誇りに思う。JC入会前の私はやりたい事も見つけられず、流れに身を任せるだけの考えで生きてきた。そんな私がJCという組織で様々な役職を担い、どんなことにも逃げずに挑戦してきたことで、仕事以外にも地域のため、仲間のために尽力したいと思えるようになった。思えばJC運動に楽な道のりはなく、常に挑戦という覚悟の連続であった。挫けそうな時も何度もあった。しかし、多くの人たちに支えられ、今の自分がここにいる。家族や職場の人たち、LOMや友好LOM、そして先輩たちに多くのご支援、ご協力、ご理解の下自分だけでなくメンバー、組織の成長につながっていると改めて感じている。だからこそ我々は地域の未来のために歩みを止めてはいけない。私はこの生まれ育ったかけがえのない地域をもっと郷土愛溢れる明るく豊かな環境にしていきたい。この想いを支え合ってきた仲間と共に、どんなことにも挑戦し、応援していける組織を作りたい。挑戦することで困難や障害が立ちはだかるかもしれない。苦しい道があるかもしれない。時には失敗することもあるだろう。それでも努力を惜しまず、仲間と共に乗り越えていきたい。より良い未来を掴むチャンスがあれば、臆さず共に邁進しよう。未来のリーダーとしての覚悟と責任をもって、最高の修練の場で一緒に地域にとってのヒーローを目指そうじゃないか。

挑戦

~覚悟をもって共に前へ~

 

第47代理事長 大島 俊太郎